雨の日は長靴との闘い。
ヤマギシでは雨の日は子供達に長靴を履かせる事を強制させます。「ん?別に構わないのでは?」と思った人、大間違いです。社会人になり、周囲の人と違う個性がある程度認められる状況であれば全然構いません。むしろ長靴は足が濡れずに水溜まりに入る事ができる完璧な防水靴です。
しかし、多感な思春期の年頃です。周りのみんながスニーカーの状態でヤマギシの子供だけ長靴の状態って浮きませんか?恥ずかしくないですか?
雨が途中で止んで万が一、外で体育の授業なんてあったら最悪です。一人だけガッポガッポと長靴の音を出して走ったりするのです。ヤマギシの子供達は長靴を履いて登校するダサい奴らだとレッテルを貼られ、陰口を叩かれ、差別されるのです。
そんな状況を何とか避ける為にスニーカーを学校に履いていく手段を画策していました。家を出たと見せかけて戻って靴を持っていったり、別の通学路で向かったりと様々な方法を取りました。
しかし、通学路には世話係が見張っており、長靴をきちんと履いているかチェックをしています。場合によっては下駄箱にも靴が減ってないかとチェックされます。当然、長靴を履いていないとバレると無理やり履かせて登校させます。学校に行かなくていいと帰宅を促された事もあります。
そこまでして長靴を履かせる意味って何でしょうか?周囲の目が気になるのも仕方ない年代です。便利なだけを頭ごなしに押し付け、こんな辱めを平気で何度もやらされていました。他所は他所とか言うレベルを完全に超えています。
よく雨の日は憂鬱なんて事を言いますが、雨の日は超憂鬱です。如何に世話係の目を盗んでスニーカーを履いて登校できるかの真剣勝負の日です。例え靴が濡れる事を引き合いに出されたとしても、靴に関してはいつも自分達で洗っていたのです。たったこれだけの事ですら、僕達には自由はありませんでした。