いじめ脱却。弟子システム
「何それ?」って思うでしょうが、過酷な子供の世界で生き抜く為には重要なシステムなのです。いじめが横行していたヤマギシでは、より強く権力がある上級生に気に入られ、守って貰う必要があったのです。
いきなり最上級生の弟子になるのは難しいので、一つか二つ上の学年の人の弟子になると言うのが一般的でした。
内容としては身の回りのお世話をしたり、パシリをしたり、物を盗んできて献上したりと様々でした。その代わり、いじめられそうになった時は助けに入って貰ったり、給料と呼ぶ品物の支給があったりと(弟子に盗んで来させた品物の一部だったり、他の子供から奪ったりする)本当の縦社会であり、ミカジメ料を支払うヤクザ顔負けの世界だったのです。
その弟子システムで一番酷かったのは給食を残させる事でした。ヤマギシの子供達は一日二食で朝食がないので、みんなお腹を空かせています。そんな中でも更に学校の給食を残して、こっそり持って帰って上級生に献上する必要がありました。
一番力の弱い下級生は相当お腹が空いていた筈です。僕も残す側になっていた時も多々あり、教師に見つかって怒られた事は一度や二度ではありません。
そんな縦社会も自分達が最上級生になった時に辞めさせようと動き、ようやく負の歴史に終止符を打てたのは、悪党三昧の生活の中でも数少ない良い行いだったと思います。