信念を持って悪事を働いた
ヤマギシ的悪い事をするから世話係を怒らせるのだとは思いますが、これには様々な感情や理由がありました。
最初の切っ掛けは上級生に命令されたりもありますが、一番の目的としては、ヤマギシでいい子になりたくなかったからです。悪事を働く事でヤマギシ的考えに洗脳されない様に大人達への反抗として頑張っていたのです。
学校に通う事で如何に自分達が抑圧されているかを認識し、同じ人間なのに自分の逃れられない運命を呪い、やけっぱちになっていたのもあります。制約ばかりを押し付けられるヤマギシの考えには全く賛同する事ができず、不幸で理不尽な世界だと認識していました。
また子供達の中では反山精神(反対山岸の略)は不屈の信念としてあったので、少しでもヤマギシ的いい子がいたら全員で徹底的に痛めつける制裁が存在していました。
ヤマギシ内で物を盗む事はヤマギシの大人達の世界にダメージを与える事にもなり、喜んでやっていたのを覚えています。大人達だけがいい思いをして子供には抑圧した環境を与えている復讐をしていたのです。
また、一般社会に対しても、お前らいい暮らししてるんだから多少は盗まれても大丈夫だろうと身勝手な理論を持ち出していました。欲しい物が得られないのであれば、自分で奪い取るしか方法がなかったのです。大人達が子供の為にと信じて全財産を投げ打ってまで入った理想郷の中身はこんなものだったのです。
もしかしたら僕がいた場所が極端だったかもしれませんが、他の施設でも大なり小なり同様の事が行われていたのでしょう。他のヤマギシの場所から転入して来た子もさほど変わらなく、すぐに悪事を働く事に馴染んでいきました。